人工栽培できなければ第二の松茸なっていた椎茸の魅力
神頼みの自生からの収穫から人工栽培
しいたけの産地として有名な大分県では、しいたけ栽培が昔から盛んに栽培されていました。
しかし、その栽培方法は神頼みに近い栽培方法でした。
しいたけの生態系について少し説明します。
椎茸は台湾、フィリピン、マレーシア、パプアニューギニアなど東南アジアの方から胞子が飛んでくることやクヌギ、コナラ、しい類などに生えていること、それらの木に自生するのではなく、折れたりして枯れた木の腐るのを促進させる「腐食性キノコ」であることがわかっていました。
生態系については分かっていたのですが、明治時代初期まできちんとした栽培法が確立されていませんでした。
伐採した原木に傷をつけてシイタケ菌の胞子が自然に付着してくれるのを待つ「神頼み」栽培だったそうです。
しいたけが発生すれば一家の生計が成り立ち、キノコが生えなければ家族全員が野垂れ死にしてしまうと言うギャンブル的な栽培方法だったそうです。
明治時代に入りそれを知った京都大学教授の森喜作氏が私財をなげうって種駒を使用した人工しいたけ栽培に成功しました。
もし、森喜作氏が椎茸の人工栽培、原木栽培に成功していなければ、松茸と同じくらい、もしかしたらそれ以上の高級品になっていたかもしれません。
ちなみにきのこの栽培キットで有名な森産業は森氏が創業しました。
しいたけにも様々な品種がある
市場に流通している椎茸の多くが「にく丸」と言う品種です。
商標登録番号が290号と言う数字で肉厚で丸いかたしをしています。
「にく丸」は語呂も良く、いい名前です。
にく丸は秋と春の二回発生し、収穫できます。
生しいたけとしてだけでなく、乾しいたけとしても優秀な品種です。
スーパーに売られているしいたけのほとんどはにく丸です。
最寄りのホームセンターではにく丸の種駒が販売されていますが、その他の品種の種駒はありませんでした。
現在はインターネットで変わった品種の椎茸の種駒も容易に購入できます。
しかし、にく丸以外のしいたけは湿度や温度、気候面で愛媛での栽培が難しいそうです。
にく丸以外にもゆう次郎、森の春太、森の夏実、5K-16、森XR1号、908、7L-5、森の春光、森のだい次郎、与さぶろう、与一丸、ろく丸、優実(まさみ)、KV-92、秀実など森産業だけでも様々な品種があります。
乾しいたけに適しているもの、生しいたけに適しているもの、種ごま植え付け後、年内に収穫できるもの、周年栽培できるものなど品種によって栽培、収穫、味に特徴や違いがあります。
機会があればにく丸以外のしいたけも栽培してみたいです。
雷が多い年はしいたけが大量発生する
昔から雷の多い年はしいたけが大量に発生し、豊作になると言われています。
先人たちの経験則からこのようなことがいわれていることです。
おそらく、雷としいたけの大量発生には何かしらの関係があると思われます。
しかし、しいたけと雷の関係は科学的にはまだ解明されていません。
電気が菌の繁殖と成長を促進させるという話もあるし、雷鳴が轟くと地面が揺れるのが原因だという説もあります。
より多くのしいたけを発生させるために原木を地面に叩きつける
地面が揺れて振動が起きると信じている人たちはしいたけが大量収穫できるように夏場に原木を地面に叩きつける風習?習慣?があります。
やり方は原木のチェーンソーの切り口を垂直に地面に叩きつけるという方法です。
柔らかい土の上ではなく、コンクリートやアスファルト、ブロック塀に叩きつけます。
実はこの方法は効果があるという人と、効果がないという人がいます。
先ほどの説明の通り、しいたけと雷の関係はわかっていません。
このやり方について個人的には効果がないと思っています。
否定派なんですよね。
しかし、雷が多い年は確かにしいたけが大量に発生した経験があります。
しいたけが大量発生したことと雷が関係していたかどうかは不確かですけどね^^;
雷と椎茸の関係が科学的に解明されると更に椎茸の価格が下がり、しいたけ農家にとっては大打撃なので出来ればわからないままのほうがありがたいです。
まとめ
美味しいしいたけを食べることができるのはしいたけの原木栽培を容易にした偉人のおかげです。
本当に感謝です。
原木栽培を行う際には品種の選定と原木を叩きつける方法で大量にしいたけを発生させることができるかもしれないという内容でした。
原木栽培に関して、しいたけ菌を植え付けた年にしいたけが発生する品種もあります。
しかし、基本的にはしいたけの発生は植菌から1年以上かかります。
対して、おがくずと菌を混ぜ込んで形を整えた菌床栽培は植菌から3ヶ月程度でしいたけが生えてきます。
収益面で言えば原木栽培よりも菌床栽培の方が儲かります。
早く収穫できるわけですからね。
しかし、味は原木栽培の方が濃厚で美味しいです。
家庭菜園でしいたけを育てるなら、断然、原木栽培をお勧めします。